神奈川県民ホールギャラリー(横浜市中区山下町3)で、現代美術家・泉太郎さんの個展「こねる」が開催されている。
同展は、国内外で斬新な作品を発表し、気鋭の映像作家として注目を集める泉太郎さんの展覧会。全5室・約1,300平方メートルの展示空間に、映像と実世界などを「こねる」というコンセプトに基づき制作した大規模な映像インスタレーションを展開する。
作品の素材は、自分自身の身体をはじめ、リサイクルショップで見つけたモノ、木材やおもちゃなど身近なものを利用。「もの」そのものの意味や形が独自の手法で表現されている。
展示作品は、泉さんが自ら道具と化して制作した「小さなキャミー」。ペンキや小麦粉などがセットされた仮設の家の中に泉さんを固定し、家屋を回転させて制作した実験的な作品で、利用素材を含めたリアルな映像記録を公開。
観客そのものも構成要素になる、広大な空間を生かした巨大スゴロク「靴底の耕作」では、インスタレーション制作の過程で泉さんが着用した衣服なども展示する。そのほか、映像と水槽が融合した「フィンランド」、展示室に一人ずつ入場して体感できるパフォーマンス作品「生き埋め」など。泉さんは会期中、毎日ギャラリーで作品制作を続け、随時新作を公開していくという。
関連イベントとして、11月20日は「快快(ファイファイ)パフォーマンス。in 泉太郎 こねる」を実施。パフォーマンスカンパニー「快快」が展示会場内で即興パフォーマンスを披露する。開催時間は13時~/15時~(各回20分程度)。参加無料(要入場券、申込不要)。11月21日・23日にはアーティストと学芸員によるギャラリートークを行う(いずれも14時開始)。
泉さんは「今回の展覧会は自分にとって途中でもあり、集大成。これほど広大な空間を利用した展示は初めてなので、制作は楽しくもあり大変。スタッフが持ってきてくれたものやリサイクルショップで見つけてきたモノを素材とし、完成後の用途などはあえて決めず、デザインだけをシンプルにテクニカルスタッフに伝え、形にしてもらった。自分で操ることのできない制作過程も含めて自分自身が『驚きたい』」と話す。
開催時間は10時~18時(入場は17時30分まで)。入場料は一般700円、学生・65歳以上500円。高校生以下無料。11月27日まで。
泉さんは1976年奈良県出身。東京在住。2000年、多摩美術大学美術学部絵画学科卒業。2002年、多摩美術大学院美術研究科修士課程修了。主な個展は、「くじらのはらわた袋に隠れろ、ネズミ」(2010年、アサヒアートスクエア 東京)、「山ができずに穴ができた」(2009年、NADiff GALLERY 東京)など。グループ展は、「TRUST - Media City Seoul」(2010年、ソウル市立美術館 韓国)、「日常/場違い」(2009年、神奈川県民ホールギャラリー)、「ヴィデオを待ちながら 映像、60年代から今日へ」(2009年、東京国立近代美術館)ほか。