1月11日にオープンした神奈川県立新ホール「神奈川芸術劇場(KAAT)」(横浜市中区山下町281)で1月29日、こけら落とし公演「金閣寺」がスタートした。
金閣寺は、三島由紀夫の代表作とされる1950年に起こった金閣寺放火事件を題材にした長編小説。オープニングを飾る日本文学シリーズ公演の第1弾として、同劇場の初代芸術監督を務める演出家・宮本亜門さんが自ら演出し、舞台化した。上映時間は約3時間(休憩1回含む)。
劇中では、吃音(きつおん)という身体的なハンディキャップを抱え、自分自身をうまく表現できず、疎外感に悩まされていた主人公が「生きていく」ための拠り所としていた「美」、金閣寺を放火するに至るまでの葛藤を描き、人間の魂の本質に迫る。主人公・溝口を演じるのはアイドルグループV6の森田剛さん。出演者はそのほか、高岡蒼甫さん、大東俊介さん、中越典子さん、高橋長英さんなど。
宮本さんは28日の最終舞台稽古の後、「役者としてやることが山のようにある舞台で普通のお芝居の何倍も大変だったと思うが、みんな真剣に打ち込んでくれて、本当にいい稽古をさせてもらった。森田さんは、いい評判を聞いていたし、実際に彼の舞台を見ていたけれど、役者として芯がある」とコメント。
今回の役作りのために5年ぶりに坊主頭にした森田さんは、「宮本さんには、とにかく走るように言われていた。頭も体も使う舞台だが、金閣寺をきっかけに高岡蒼甫くんや大東俊介くんなどいい仲間に出会えてよかった」と語った。
同劇場は29日、Fチケット&インフォメーションエリアに劇場図書館「BOOKAAT(ブッカート)」をオープン。宮本亜門さんや岡田利規さんの寄贈図書をはじめ、戯曲全集、演出家のノンフィクションなどの公演・演劇関連書籍約900~1,000冊をそろえる。同劇場1~2階で閲覧することができる。開館時間は10時~18時。
神奈川芸術文化財団 広報担当の前島智子さんは、「劇場で公演のないときにも一般の方に気軽にご利用いただけるよう、専門的書籍のほかに舞台芸術の世界とつながる絵本やマンガ、写真集も用意しています。神奈川県立青少年センター演劇資料室の蔵書もありますので、さらに専門的な書籍をお探しの方は青少年センターにも足を運んでいただけたら」と話している。
金閣寺の横浜公演は2月14日まで全17回。その後、長野、福岡、名古屋、大阪を巡回する。横浜公演は追加席チケット(座席券・立ち見券)を販売。詳細はホームページで。