野毛の老舗洋食屋「センターグリル」(横浜市中区花咲町1)が4月20日、日本ナポリタン学会による中区初の認定店舗に認定された。
日本ナポリタン学会は、横浜開港150周年を機に、横浜発祥といわれるスパゲティ「ナポリタン」を横浜の価値として広めていこうと、横浜の地域SNS「ハマっち!」に参加していたメンバーらの呼びかけにより集まったナポリタン愛好家により、2009年9月7日に設立された市民団体。
センターグリルは1946年12月15日創業。米国風洋食「旗印」のロゴマークを目印とする2階建てレストランで、店内は昭和の香りただようレトロな雰囲気。店名は、創業者の石橋豊吉が開業前に務めていたホテル「センターホテル」に由来している。センターホテルは、スパゲッティーナポリタン発祥のホテルニューグランド初代総料理長サリー・ワイルが経営していた。
同店のナポリタンは、戦後の食糧不足時に、先代が「栄養とボリュームのある、おいしいスパゲティをたくさんの人に食べてもらいたい」と考案したメニュー。創業当時から変わらぬ昔懐かしい素朴な味わいで、2.2ミリの極太麺を使い、マッシュルームやスパム、ピーマンなどの具材がふんだんに入っている。価格は700円。かつては、俳優の田中邦衛さんも同店のナポリタンを「うまいねえ」と言いながら平らげ、地元経営者らが通っていた。
当日は、日本ナポリタン学会の田中健介会長から同店2代目の店主・石橋秀樹さんに認定証が手渡され、石橋さんは「中区認定店舗第1号の名に恥じぬよう、これからも市民の皆さまのためにおいしいナポリタンを作りつづけます」とコメント。
また、田中さんは「中区は、ナポリタン発祥のホテルニューグランドや日本ナポリタン学会があり、ナポリタンのホームグラウンドともいえる場所です。センターグリルさんは、古くから横浜の洋食屋の顔として親しまれてきたお店で、催事イベントなど全国でナポリタンを展開されています。今後も、洋食屋さんがたくさんある横浜にナポリタンを普及し、まち全体を盛り上げてゆければ」と話す。
センターグリルの営業時間は11時~21時45分。月曜定休。
スパゲッティーナポリタンは、中区にあるホテルニューグランド発祥の洋食メニューのひとつで、第二次世界大戦後、2代目総料理長の入江茂忠が、連合軍に接収されていたころ、軍用食として出されていたスパゲッティとトマトケチャップをあえてつくった料理にヒントを得てオリジナルソースによって考案し、「ナポリタン」と命名した。
日本ナポリタン学会はこれまで、ナポリタンをテーマにした各種イベントの開催など、横浜を活性化させるさまざまな活動を行っている。同学会は今年1月に、都筑区の「都筑亭」(洋食)、南区の「ぱあら~泉」(喫茶)、また、商品として美濃屋あられ製造本舗の「横浜ナポリタン」に認定証を発行している。