「お三の宮」(おさんさま)として市民に親しまれている「日枝神社」(横浜市南区山王町5)の「例大祭」が9月16日~18日の3日間にわたり開催される。
日枝神社は「横浜関外総鎮守」といわれ、寛文年間(1661年~1673年)に、当地では「吉田新田」開墾者として知られる吉田勘兵衛が江戸の山王社(現在の赤坂日枝神社)から分霊してまつったのが創建とされている。
勘兵衛は摂州能勢郡(現在の大阪府能勢町付近)出身で、江戸へ出て一代で財を成した材木商。「釣鐘型」をした横浜の入海が埋立てに適している点に注目し、幕府の許可を得た後、新田開発事業に着手。地元の村民達の協力のもと、11年余りの歳月と多くの資金を投じて完成させた。この新田開発が後の横浜発展の礎になったとも言われている。
日枝神社の例大祭は「かながわのまつり五十選」に選ばれている祭事。横浜随一の大神輿による氏子内御巡行は毎年行われ、本祭り(奇数年毎)には大小40基にも及ぶ町内神輿連合渡御が伊勢佐木町などを練り歩き、市内屈指の規模を誇る。
16日には同神社での「例祭式典」や上野(東京都台東区)の「西郷隆盛像」を手掛けた彫刻家・高村光雲作の「火伏神輿(ひぶせみこし)」、17日は「車いす神輿」行列や市内随一の大きさの「千貫神輿(せんがんみこし)」(高さ約3メートル70センチ)が氏子町内を巡る「大神輿巡行」を実施。18日は周辺各町内独自の神輿も渡御(とぎょ)する。
また、東日本大震災が起こった今年は、全氏子町会が復興支援のぼり旗を製作。被災地への一助となるよう、全行事にのぼり旗を掲げて祭礼を務める。伊勢佐木町にあるCROSS STREET(中区伊勢佐木町4)では岩手県復興支援物産展やコンサートを実施。有隣堂伊勢佐木町本店近くでは被災地支援の募金活動も行う。
ほかにも17日・18日は、境内で生花展や児童園児による書画の作品展を行うほか、氏子有志が奉納演芸会を実施。千貫神輿は巡行の前日(18日)に神社裏手の神輿庫でお参りすることができる。
お三の宮日枝神社宮司の角井瑞さんは「今年は震災の復興支援も掲げていますので、横浜から元気をという盛大に行いますので、ぜひお越しください」と話す。
伊勢佐木町1・2丁目地区商店街振興組合企画宣伝委員長の石田隆さんは「今回は、『火伏の神輿』を前面に打ち出します。関東大震災・横浜大空襲の2度の苦難をかいくぐった『災難よけの神輿』としてアピールして参ります。会期中は『火伏の神輿』の展示前で被災地支援の募金活動を行います。ぜひ、お越しください」と話している。