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幕末の史跡「神奈川台場」石垣遺構、マンション内資料室で公開

資料室のオープンを喜ぶ「栄光」の朝日恒男会長

資料室のオープンを喜ぶ「栄光」の朝日恒男会長

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 幕末に築造された砲台「神奈川台場」の石垣の一部が昨年6月に神奈川区のマンション建設地で偶然見つかり、開発業者の「栄光」(横浜市神奈川区栄町8)が史跡の保存活用を決定。マンションの一室に資料室を開館し、石垣遺構の一般公開を行っている。

重さ約700キロの真鶴石で形成される「神奈川台場」の石垣遺構

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 神奈川台場は横浜開港の翌年1860年、勝海舟の設計のもと築造された。台場は海岸警備と監視のため大砲14門を備え、かつて国内外の貴賓や外交団に祝砲や礼砲を放っていた史跡。面積は、同時期の砲台で最大規模となる約2万6千平方メートル。現在、工業化で周辺部が埋め立てられている台場は、近年の調査で神奈川区内の地下にほぼ完全な形で埋蔵されていることが確認されており、貴重な遺構として注目を集めている。

 資料室は、神奈川区の再開発エリア「横浜コットンハーバー地区」に今年2月竣工した6階建て賃貸レジデンス「ヒストリアレジデンス海舟」(神奈川区星野町10)1階に開設。室内では、当時の姿で保存された高さ約3.2メートル、長さ約4.5メートルの石垣を見下ろすことができる。石は関東各地から取り寄せたとされる安山岩系(硬質)の真鶴石で、重さは1個約700キロ。5段の石積みが公開展示されているが、当時は計7段あったと推定されている。

 同資料室の壁面には、生麦村から東海道を通り、開港場へ向かう経路を示した案内絵図「神奈川台場と開港場」や「幕末の神奈川湊」「神奈川台場を描いた地図」「神奈川台場の砲台」(横浜開港資料館蔵:複写)、勝海舟筆(複製)「伝 徳川家康公 遺訓」(郷土史愛好家・山本博士さん蔵)など、開港時の横浜を記録した関連資料13点を展示。店内では、神奈川台場をモチーフにした縁起菓子「銘菓 勝サブレ」(三陽物産)も販売している。

 「栄光」の朝日恒男会長は、「マンションの建設現場で石垣を傷つけずに発見できたのは奇跡的。当時の土木技術に感銘し、石垣遺構の保存公開を決定した。多くの方にみていただき、この街の発展に寄与できればうれしい。石垣は史跡の文化財的価値を考え、ありのままの姿の再現に務めた。資料室には喫茶&バーも併設したので、今後は歴史講義など地域交流の場としても活用いただけたら」と話している。

 また、横浜開港資料館の西川武臣副館長は「神奈川台場の石垣は、マンションに隣接する神奈川台場公園にも展示されているが、ここまでちゃんとした形でみられる場所は初めて。国際都市・横浜の歴史を伝える重要な土木遺構が、民間の努力で保存・公開されることは素晴らしいと思う。資料館の開設をきっかけに、今もなお地下に眠る石垣の全面発掘調査ができれば、一層価値ある遺跡となるだろう」と語る。

 営業時間は10時~23時。入場料は大人100円、子ども・学生無料。資料室はレンタルホール(有料)としての貸し出しも行っている。問い合わせは栄光(TEL 045-441-5465)まで。

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