20代の若手演出家・市原佐都子さんが率いる劇団「Q」の新作公演「いのちのちQ」が2月8日から10日まで、「さくらWORKS<関内>」(横浜市中区相生町3)で行われる。9日~2月17日まで、横浜市都心部で展開される「国際舞台芸術ミーティング in 横浜(TPAM in Yokohama 2013)」のショーケース登録作品。
「Q」は、2011年に旗揚げされた若手の劇団。主宰する市原さんは、福岡県出身で桜美林大学総合文化学群演劇専修の在学中に、自身初となる劇作・演出作品「虫虫Q」を卒業研究で発表して注目された。2012年に同作をもとにした戯曲「虫」で、演劇界の次代を担う人材を表彰する「第11回AAF戯曲賞優秀賞」(愛知県文化振興事業団)を受賞した経歴をもつ。
東京を拠点に活動してきた市原さんは「いのちのちQ」の制作・演出に際し、公演が始まる1カ月前から、会場の「さくらWORKS<関内>」に通いながら、京浜急行・黄金町駅周辺や伊勢佐木町・寿町といった地域にも足を運び、そこで感じた皮膚感覚を大切にしながら、「いのちのちQ」を演出していったと言う。
今回の作品には、飯塚ゆかりさん、角梓さん、田中俊太朗さん、吉田聡子さんの4人が出演する。市原さんは「『いのちのちQ』のモチーフは『血統』。そのモチーフを横浜の街を歩いてふくらませました。ピカピカした横浜よりも、少し暗くて、けれども生命力にあふれている横浜が、今回の新作に出ていると思います」と語る。
市原さんが選んだ公演会場「さくらWORKS<関内>」は、JR関内駅から海側に延びる「関内さくら通り」沿いにあるビルの2階にあるシェアオフィスで、横浜のアーティストら約20人がリノベーションに関わり、2012年12月にオープンしたばかりの約210平方メートルの空間。事務所空間を劇場として使用するのは「Q」にとって初めての試みだ。
演劇専用ではない空間をあえて上演の場に選んだことについて、市原さんは「TPAM期間中は、観劇に関心がある方が横浜に集まる時期ですが、この作品は普段から横浜で生活していて、あまり演劇に興味のない方にも、ふらっと来て見てもらえたらうれしい」と話している。
TPAM(ティーパム)は、舞台芸術の国際的プラットフォームで、国内外100以上の舞台芸術関連団体・アーティストが参加。期間中、演劇・ダンス公演、セミナー・ミーティング、ショーケース、公募式プレゼンテーションなど舞台芸術をさまざまな視点からつなぐプログラムを実施する。
「Q」の公演は全5回。期間中には、市原さんを囲んで、松井周さん(劇作家・演出家/劇団「サンプル」主宰)、入江悠さん(映画監督)、木村元彦さん(作家・ジャーナリスト)、杉浦裕樹さん(NPO法人横浜コミュニティデザイン・ラボ代表理事)らのアフタートークも行う。チケットは前売り一般2,500円、学生2,000円、当日券各500円増し。詳細は「Q」のホームページから。問い合わせは、事務局(TEL 090-8224-3565)まで。