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KAATで劇団「地点」が太宰治原作の舞台ー舞台美術に山本理顕さん

作品「駈込ミ訴ヘ」より(撮影:橋本武彦)

作品「駈込ミ訴ヘ」より(撮影:橋本武彦)

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 KAAT 神奈川芸術劇場(横浜市中区山下町281)で、太宰治の小説を原作にした2作品「駈込ミ訴ヘ」「トカトントンと」が同時上演されている。

作品「トカトントンと」より(撮影:青木司)

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 「駈込ミ訴ヘ」と「トカトントンと」は、京都を拠点に活動している劇団「地点」と、KAAT 神奈川芸術劇場が企画段階から制作過程を共にしてつくりあげた共同制作作品。太宰治の小説を原作にした「NIPPON文学シリーズ」第3弾として、新作「駈込ミ訴ヘ」と、昨年上演した「トカトントンと」の2本立てで上演する。演出・構成は、「地点」代表の演出家・三浦基さん。舞台美術は、横浜に拠点を置き現代建築の第一線で活躍している建築家の山本理顕さんが担当。

 「トカトントンと」は、天皇制を戦後以降保留にされ続けてきた問題として改めて捉え直す作品。初演では、太宰文学の色あせない魅力を伝える舞台として高く評価され、「人間失格」に代表される暗い私小説作家としての太宰ではなく、戦中戦後を生きた冷静な職業作家としての太宰の姿が話題を呼んだ。

 一方、新作「駈込ミ訴へ」では、一人語りの手法で描いた小説「駈込み訴え」を舞台化し、西洋社会の基盤となっている「キリスト教」をテーマに、ユダがキリストを裏切るまでの心の揺れ動きを描写。バリトン歌手の青戸知さんが教会音楽、あるいは西洋芸術の表象であるクラシック音楽を「声の演劇」で表現する。

 出演者は、安部聡子さん、石田大さん、窪田史恵さん、河野早紀さん、小林洋平さん。 青戸知さん(「駈込ミ訴ヘ」)。庸雅さん(「トカトントンと」)。

 KAAT 神奈川芸術劇場の熊井一記さんは「なぜ社会は成熟しないのか。なぜ未だに解決されぬ苦しみがあるのか。今回は2作品を同時上演し、太宰スピリットを手がかりに現代という時代を捉えていく。地域の拠点劇場として、より完成度の高い舞台作品の上演を目指す劇場の試みと成果をご覧頂ければ」と話している。

 会場はKAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオ。チケットは一般3,500円、2演目セット券6,000円(枚数限定)ほか。公演スケジュールなど詳細はホームページで。3月26日まで。

 「地点」は、多様なテキストを用いて言葉や身体、物の質感、時間などさまざまな要素が重層的に関係する演劇独自の表現を生み出すために活動している。劇作家が演出を兼ねることが多い日本の現代演劇の中で、演出家が演出業に専念するスタイルが独特。2006年にカイロ国際実験演劇祭でベスト・セノグラフィー賞を受賞。テキストの綿密な解釈に基づき意味を再構築する手法が国内外で注目を集めている。

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