東日本大震災後の福島県双葉町の人々暮らしを記録したドキュメンタリー映画「フタバから遠く離れて」(2012年、舩橋淳監督)が4月20日から「シネマジャック&ベティ」(横浜市中区若葉町3)で上映される。
初日上映後には、舩橋監督の舞台あいさつに加え、映画館そばのアートスペース「nitehi works」で、ことし3月末でNHKを退職したフリージャーナリスト堀潤さんと同監督とのトークイベントも開催される。
「フタバから遠く離れて」は、2011年3月に発生した東京電力福島第1原子力発電所の事故で、埼玉県加須市の廃校に全町避難し、いまも避難生活を続ける双葉町の人々の日常を記録した作品。音楽家・坂本龍一さんが曲を提供している。
原発から約3キロに位置する同町は、かつては「出稼ぎの町」だったという。原発稼働によって、雇用が生まれ、補助金が交付されるなど、事故発生までは、首都圏への電力を供給するために建設された原発と「共存共栄」の道を歩んできた。
そうした歴史の積み重ねのうえに今回の事故が発生し、避難を強いられた町民の複雑な思いを記録した映像は、原子力発電所のエネルギーを利用して「豊かさ」を追求してきた日本という国の在り方を見る者に問いかけ、2012年秋の公開以来、反響の輪が広がっている。ジャック&ベティでの上映は、26日までの毎日、14時25分~16時5分まで。
「nitehi-works」で上映記念イベント「LINKS Vol.2 Two Leaves」を企画したのは、横浜市内で活動するクリエイティブユニット「Team LINKS」(柳澤史樹代表)。イベントは2部構成で、前半が舩橋監督と堀さんの対談、後半が福島県から横浜市内に避難している被災者からの現状報告となっている。
堀さんは、3月までNHKでアナウンサーとして勤務。「市民によるジャーナリズムの確立」を目指して「8bit NEWS」を設立し、4月からフリージャーナリストとして活動を始めたばかりだ。堀さんは、映画の趣旨に賛同し、今回のイベント出演を快諾したという。
後半は、強制避難によって、福島県富岡町から横浜市旭区に移り住んだ被災者・坂本建さんをゲストに迎える。坂本さんは、福島県外に避難を強いられた人の立場から見える現実や、神奈川県で暮らす福島県民のネットワークを築く目的で設立された「避難・支援ネットかながわ」の活動などについて話す。
主催者の柳澤さんは「当初は舩橋監督のトークのみの予定でしたが、facebookでつながった堀さん、坂本さんに出演を依頼したら快諾いただき、輪が広がった。このLINKSというイベントを積み重ね、まだ収束していない原発事故を乗り越えていくために、どのようにアクションしていくのか、首都圏に生きる私たちが語り合う機会を提供していきたい」と話している。
トークイベントはすでに満員だが、横浜市民放送局とIWJ Kanagawaの協力で、Ustreamによるライブ中継を実施する。ライブ中継時間は17時~18時半。「team-links」と「IWJ KANAGAWA1」のUstreamページで視聴することができる。問い合わせはinfoteamlinks24@gmail.com(担当:柳澤)まで。