2013年3月に終了した「かながわ東日本大震災ボランティアステーション」事業(ボラステ事業)で活動したボランティアがこの5月、新たな組織「かながわ311ネットワーク」(略称:かながわ311ネット、伊藤朋子代表理事)を設立した。
震災発生から2年2カ月後の5月11日、設立説明会をかながわ県民センター(横浜市神奈川区鶴屋町)で行い、約60人が参加し、今後の事業のあり方などについて意見を交換した。活動の主体となる賛助会員を募り、今秋のNPO法人化を目指しつつ、東北の復興支援に軸足を置いた事業をスピーディーに展開する組織を目指す。
かながわ311ネットは、2011年から2年間にわたって運営されていた「ボラステ事業」に参加していたボランティアらが主体となって設立した。
ボラステ事業は、神奈川県と、1995年の阪神大震災を機に設立されたNPO法人「神奈川災害ボランティアネットワーク」、神奈川県社会福祉協議会の3者による協働事業として2011年4月11日に始まった。
主に神奈川県が、事務所スペースや事務局人件費などを負担し、民間のネットワークと企画力を生かした事業として展開。岩手県遠野市に県が設置したボランティアの宿泊施設「かながわ東日本大震災ボランティアステーション遠野センター」(通称・金太郎ハウス)を運営したほか、ボランティアバスを371台運行させ、ボランティアを募るための情報発信、被災地の産業復興に役立つバザーの企画・実施など、神奈川県内のボランティア延べ1万1千人以上を被災地とつないだ。
今回設立された「かながわ311ネット」は、ボラステ事業に関わったメンバーらが「被災地のニーズに迅速にこたえながら、ボランティアそれぞれが今できることをできる範囲で積み重ね、そこから生まれる情報をスピーディーに伝えて、支援の輪を広げていきたい」と立ち上げた。
この日の設立説明会には、関係者ら約60人が参加し、設立の経緯や今後の事業計画などについて情報共有・意見交換を行った。計画している事業は、災害復興支援(ボランティアバス運行)、高校生同士の交流・災害教育、観光・交流支援、減災研修・防災教育、情報活用、被災地物産販売の6分野。今後、会員と寄付を集めながら、プロジェクトチームをつくって具体的な活動をデザインしていく。
代表理事の伊藤朋子さんは、この2年間、本業のテクニカルライターのかたわら、情報ボランティア・編集チームのリーダーとして活動を続けてきた。3月まで情報発信を担当していたボラステのウェブサイトでは、他のプロボノライターとともに、一日平均2本の記事を更新。また、ボランティアバス運行時には「速報」とよばれるリアルタイム更新を実施するなどきめ細かい編集で、ボランティアの気持ちを被災地につないできた。
新たに立ち上げるかながわ311ネットについて「2011年3月末、自然発生的に見ず知らずの人たちが県民センターに集まり、誰がリーダーとは見分けがつかない状況で『今自分にできることをやって役立ちたい』と始めたことが私たちの原点。その精神を生かし、かながわの減災についても目配りしながら、まだ復興途上にある被災地の力になれるようなネットワークを新たにつくっていきたい」と話している。
かながわ311ネットは、被災地の復興支援プロジェクトに関わりたい人、寄付などを募集している。問い合わせは同ネットウェブサイトから。