幻想的な世界を油彩で描く横浜出身の画家・安藤ニキさんと、父親で家具職人の安藤和夫さん親子による展覧会「プルガダイス・その世界-木と絵の語らい 安藤和夫・ニキ父子展」が7月10日、岩崎ミュージアム(横浜市中区山手町254)で始まった。
安藤ニキさんの作品「もとの栄光の中の天使」(額は安藤和夫さん作)
安藤和夫さんはクラシック家具店「横浜元町 竹中」(中区元町4)で職人としてのキャリアをスタート。1985年に独立し、95年から生まれ故郷の小田原で、履歴の確かな国産材を使い、端正なデザインの家具を製作し続けている。
長女のニキさんは、「共感覚」という珍しい感覚を幼いころから持つ。1種類の刺激に対して複数の感覚系が反応する能力で、音を聞くと色や画像が見える「色聴」などが代表的なケース。今回の企画展では、ニキさんが表現し続ける架空の大陸「プルガダイス」シリーズ約50点を展示する。
いずれも水彩・油彩・コラージュで描かれた幻想的な人物・風景画で、「救済の形」を表現した「天使シリーズ」を中心に、出展の8割近くが新作となっている。「プルガダイス」は、煉(れん)獄=プルガトリウム(有限の地獄)と楽園=パラダイスを合わせたニキさんによる造語。
また、安藤和夫さんも、「自分のライフワーク」としている「宗教の壁を越えた祈りの場」となる家具「厨子(ずし)」を数台と椅子、ライティングデスクを展示。ニキさんの絵を縁取る「額」も6点制作した。
ニキさんは「5月に体調を崩したが、描きたいことが次々と湧き、制作だけは一度も滞らなかった。私は、究極的には『救済の形』をテーマにしている。それは私自身のリアリティと直結しており、今展示では、そのテーマがとくに濃密に反映されている」と作品について語る。
また、安藤和夫さんは「アートは鑑賞するだけでなく生活空間に置かれることによって、その空間にいやしや気づきなどを与える効果がある。ニキの絵画や私のお厨子なども、身近に『在る』ことで、そばにいる人に何か変化を促すかもしれない」と話している。
開館時間は9時40分~18時(入場は17時30分まで)。16日は休館。最終日は17時まで。入館料は大人300円、小中学生100円。開催は7月21日まで。