横浜市と国際協力機構(JICA)は、1月26日から2月6日まで、アフリカの女性起業家や政府関係者を招き、起業支援施設などを視察する「アフリカ女性起業家支援セミナー」を開催している。1月29日には、横浜市中区のアートスペース「と」(横浜市中区石川町3)など、女性が運営しているカフェなどを視察し、地域に根付いた女性のビジネス支援について意見を交換した。
2月3日には「日本・アフリカ ビジネスウーマン交流 公開シンポジウム at 横浜 アフリカの輝く女性と共に成長を! 」が、横浜シンポジア(中区山下町2)で行われる。
このセミナーは、2013年6月に開催された「第5回アフリカ開発会議」(TICAD V)の成果である「横浜宣言2013」と「横浜行動計画」で合意された「日本アフリカ・ビジネスウーマン交流プログラム」の第1弾。
このプログラムでは、アフリカの女性と日本の女性たちが、それぞれのコミュニティにある課題を解決し、経済的に自立していくための「ビジネスの創造と持続」に、どのように取り組んでいるのかを学び合う内容となっている。
1月26日にアフリカ7カ国(エチオピア、ガーナ、タンザニア、ナイジェリア、マラウイ、南アフリカ、ルワンダ)からそれぞれ、女性起業家1人・政府関係者1人の2人・計14人の一行が来日。すでに、女性専用インキュベーションオフィス「F-SUS よこはま」(中区太田町2)、起業支援プログラムを長年提供している「男女共同参画センター横浜(フォーラム)」(戸塚区上倉田町)など支援施設を見学し、スタッフらと意見交換をしている。
29日は、実際に地域で活動をしている女性3人を訪ねて、事業の成り立ちや運営手法について意見交換。アートスペース「と」では、オーナーの今井嘉江さんが、絵本やハンドクラフト作品が飾られたカフェ空間で一行を出迎えた。
実家だった駄菓子屋を、仲間のアーティストたちとリノベーションして仕上げた温かい空間にアフリカの女性たちは大喜び。「最初は、自宅のワンフロアを単にみんなに開放して始まった」「家具や椅子も、もらい物ばかり」と、説明する今井さんに「アフリカでは、起業というと、すぐに事務所を借りたり、備品をそろえたりしてしまうが、ミッションさえあればお金をかけずに事業を始められることを学びました」とコメントする女性も。
子育てをしながら伝統衣装のデザイン会社を経営するエチオピアのフィキルタ・アディス・テドウラさんは「公的な起業支援策やコミュニティに根付いた日本の女性達の活動など、今まで探し求めていた形が現実となっていることに感動した」と涙ぐんでいた。
今回のセミナーを企画したJICA横浜の安藤洋子さんは「公的な支援策のあり方を学び各国の施策に生かすとともに、地域を元気にするために働く日本の女性経営者の姿から女性起業家の役割を再認識してもらえたら」と意義について話している。
一行は、2月3日のシンポジウムにも参加。林文子市長の講演や今回のメンバーも参加するパネル討論「起業を通じた女性のエンパワーメント」、名刺交換会などを通じて、さらに気づきとつながりを深める予定。シンポは14時~16時。一般も参加可能。定員は200人で先着順。参加費は無料で保育サービスあり。