2014年に開館50年を迎えた横浜市民ギャラリー(横浜市西区宮崎町26)が10月10日、横浜市西区に移設オープンした。
地下1階ギャラリーはコンクリート仕上げで天井高は4.7メートル
横浜市民ギャラリーは1964年に開館した「市民ギャラリー」と名付けられた全国初の施設。横浜市初の文化施設として、横浜の市民に広く美術を紹介し続けてきた。2011年の東日本大震災の影響で市民ギャラリーが入っていた横浜市教育文化センター(中区万代町1)の建物の閉館・解体が決定したため、2013年3月に休館。1年半の休止期間を経て、新たに地上4階・地下1階の建物に移設オープンした。
新しい市民ギャラリーは、伊勢山皇大神宮近くの旧横浜市職員厚生施設「いせやま会館」を、本格的なギャラリー施設にリノベーションした。延床面積は約3,428平方メートル。地下1階から3階までが展示室で、4階に創作活動や美術講座などに利用できるアトリエ(148.6平方メートル・天井高2.6メートル)、収蔵庫や荷物用リフト、作品保管室などを備える。
展示室は、地下1階に1部屋、2階3階は2分割でき、最大6室で利用できる。事前登録をすれば、美術団体・グループの発表の場として使用できる。絵画・版画・写真などの平面作品、彫刻などの立体作品、木工・陶芸などの手工芸作品、服飾などのデザイン作品、玩具などの創作作品の展示ができる。
10日に行われた記念式典では、林文子横浜市長が「開催中のヨコハマトリエンナーレや東アジア文化都市2014など、現在横浜が芸術文化の点で外部から評価が高いのは、50年もの間、市民ギャラリーを大切にしてきた取り組みがつながってきている」と述べ、テープカットをして新ギャラリースタートを祝った。
同施設では開館記念展として「横浜市民ギャラリークロニクル 1964-2014」を開催。展覧会では、地域に根ざした施設として、多岐にわたる展覧会を開催し、国内外の現代美術を紹介してきた同ギャラリーの歴史に焦点を当てる。全館を使い、約1,300点の所蔵作品の中から柳原良平の「開港記念会館」や岡本太郎の「まひる」など138点と、これまで開催してきた事業の関連資料や市民ギャラリーの活動を支えてきた関係者のインタビューなどを紹介する。
会場には、当時としては珍しかった現代美術の新進気鋭の作家を次々に紹介した「今日の作家展(1964年~2006年)」出品作品のほか、大通り公園完成を記念して1978年に開かれた「ヨコハマ漫画フェスティバル」で制作された赤塚不二夫、やなせたかし、ちばてつや、柳原良平、ヒサクニヒコなどによる横浜にまつわるマンガやイラスト作品なども展示されている。
横浜市民ギャラリーの三ツ山一志館長は「改修に1年半かかったが、待った甲斐(かい)があった施設になったと思う。継続して50年という歴史に関わることができて感慨深い。コンテンポラリーの作家たちがその時代時代に発してきたメッセージはいまにつながるものがある。開館記念展でそれを感じ、考え、みなさんの生活に生かしていただきたい」と話している。
横浜市民ギャラリーには現在、183団体が登録。年間45~50万人の鑑賞者が訪れる。
開館記念展「横浜市民ギャラリークロニクル 1964-2014」は10月29日まで。開館時間は10時~18時(入館17時30分まで)。入場無料。会期中無休。最寄り駅のJR桜木町駅からの無料送迎サービスあり(運行時間10時~18時、平日30分・休日20分間隔で運行)。休館日は毎月第3月曜日と年末年始(10月20日は開館)。