BankART Studio NYK(横浜市中区海岸通3)のKawamata Hallで10月9日から、中区・黄金町のまちづくりを描いた作家・阿川大樹(たいじゅ)さんの長編小説「横浜黄金町パフィー通り」(徳間書店、2014年)の舞台版が上演される。
かつて違法風俗店が建ち並んでいた黄金町がアートの町へと変貌していく様子を、街に迷い込んだ女子高生や地元住民、アーティストの視点で描いた同作。阿川さんと同じく黄金町に拠点を置く「劇団!王子の実験室」主宰の田口浩一郎さんの発案で、黄金町のアーティストや横浜で活動する役者らが舞台を作り上げる。
物語は、住民が町を取り戻そうと立ち上がる2002年、アートの町に変貌を遂げた町に主人公が迷い込む2007年に、「アートの町」から「普通の町」に変わろうとしている2015年のオリジナルエピソードを加えた3つの時代を描く。
現代美術家の岡田裕子さんによるパフォーマンス・ビジュアル、映画監督の吉本直紀さんが手がけるプロジェクション・ マッピング、セメント彫刻家の山田裕介による舞台美術「木」など、舞台上に散りばめられた黄金町のアーティストの作品が楽しめるのが特徴。
製作総指揮・脚色を務める田口さんは「横浜から違法風俗が一掃されたという事実を単になぞったストーリーではなく、日本で芸術活動をしている方が直面する問題、町におけるアートを住民がどのように受け止めるかを扱った内容になっている。芸術に興味のある方はもちろん、芸術に積極的に関わっておられない方にも楽しんでいただける作品」と話している。
公演は10月9日=19時~、10日14時~/19時~、11日14時~/19時~、12日14時~。チケットは前売り3,000円、当日3,500円。初日終演後は役者やスタッフを交えた交流パーティーを開催する(キャッシュオン)。また、各日程の終演後には、阿川さんの単行本サイン会を実施する。