三溪園(横浜市中区本牧三之谷58)で2016年1月1日から3日間、お正月イベント「三溪園で過ごすお正月」が開催される。
同園の創設者・原三溪が自らの居宅として建て、庭園の造成にあたりその足がかりとなった横浜市指定有形文化財「鶴翔閣(かくしょうかく)」の内部を特別公開し、建物内の楽室棟で日本の伝統芸能を日替わりで上演する。
鶴翔閣(1902年建築)は、三溪が子供たちと暮らした延床面積約950平方メートルの近代和風建築で、その名称は鶴が飛翔する姿を思わせる外観から取ったと言われている。当時、横山大観や前田青邨(せいそん)、和辻哲郎など多くの文化人が出入りしており、鶴翔閣は日本近代文化の醸成に関わった文化サロンとしての役割も果たしていた。
日替わりイベントは、アトリエ筝こだま(児玉寛子、設楽瞬山)による筝曲演奏(1日)、横浜萬屋心友会・興禅寺雅楽会が出演する「包丁式」(2日)、日本古来の伝統手品を披露する「和妻(わづま)」(3日)。包丁式では式題「宝船之鯛」のもと、食材に手を触れずに箸と包丁のみで魚や鳥をさばく伝統的な儀式が行われる。
そのほか、福笑いやカルタなどのお正月あそびや、鶴翔閣紹介ビデオ上映コーナーを設置し、梶井宮御流・藤原素朝さんによる「お正月の花飾り」を展示する。
三溪園・広報担当の吉川利一さんは「今回は鶴翔閣の建物そのもの、日替わりの催しに加え、伝統的ないけばなの花飾りもご用意。また、臨春閣の玄関、合掌造りの旧矢箆原家住宅では飛騨の正月飾りの花餅のしつらえも楽しめる。2016年に三溪園はおかげさまで開園110年。これからも引き続きご愛顧いただければ」と話す。
鶴翔閣の公開時間は9時~16時。開園時間は9時~17時(入園は16時30分まで)。入園料は大人=500円(市内在住65歳以上無料)、小学生=200円。12月29~31日は休園。2016年1月3日まで。