シェアスペース「さくらWORKS<関内>」(横浜市中区相生町3)で9月29日、連続講座「地域を知る・エシカルを知る/ソーシャルな消費者養成講座」(全5回)の第2回セミナーが開催される。
「有限な地球」を意識し、働く人の人権に配慮した商品づくりやサービス提供を重視する消費行為に注目が集まっている。こうした消費は「倫理的な消費」「エシカル消費」と呼ばれ、2015年5月には消費者庁に「倫理的消費調査研究会」が立ち上がり、現在も必要性や効果の予測等、多様な視点から議論が進められている。
今回のセミナーのテーマは「人間の尊厳を支える仕事を創る~フェアトレードの先駆者・ネパリ・バザーロ代表 土屋春代さんに学ぶ」。自身では「フェアトレードをやってきたという意識はない」と発言する土屋さんは、社会起業家という言葉もなかった1992年に「ネパールの子ども・女性たちの貧困脱出のために仕事を創る」ことを志して会社員を辞め、衣料品と食品を企画開発・輸入販売する会社を設立した。
以来、四半世紀にわたってその軸を揺るがすことなく、品質に厳しい日本の顧客を満足させるものづくりを実現し、生産者と消費者をつないできた。
主力製品を衣服にしたことについて土屋さんは「本来、衣服は農産物の1つだと位置付けている。しかも、さまざまな人の関わりがないとできない。1人でできないということは、色々な人に仕事があるということ。綿を栽培する、糸を紡ぐ、染色する、布を織る、ボタンを作る、そして服を作る。得意・不得意を生かし合って『力を合わせなければできない』ものづくりが、ネパールの女性たちに適していた」と話す。
セミナーでは、ネパールとの出会い、仕事の形を見定めたきっかけと、仕事を得たネパール女性たちの変化から、現在力を入れている東日本大震災被災地(岩手県)の復興支援について話を聞く。さらに、現場にいるからこそ見える「グローバルなフェアトレード認証」の問題点などについても言及する。
土屋さんは「ひとりひとりが『どう生きるか』というのは、日々の暮らしで『何を選択するのか』に反映される。経済も政治も、1人ひとりの『選ぶ』行為の責任は実は大きい。一見割安な大量生産品を買うことは、大量廃棄につながっている。作り手の尊厳が守られた仕事によって、大切に作られたものを大切に使うことは、ささやかながら将来の地球環境に対する責任を果たすことにつながる」と、消費のあり方を問いかけている。
開催日時は29日19時~21時。参加費は500円(学生無料)。同講座の3回目は、10月24日に保土ケ谷区の畑を実際に体験する、「地産地消」をテーマにした講座が予定されている。
今回の講座は、横浜市経済局消費経済課とNPO法人横浜コミュニティデザイン・ラボ(中区相生町3)が協働契約を締結して実施する、消費のあり方を見つめ直す「消費協働促進事業」の一環として開催される。