訪日クルーズが好調の中、アジアを中心にクルーズ事業を展開するゲンティン香港は、横浜と大阪を母港とする日本発着クルーズで、カジュアル客船による旅の選択肢を広げている。
クルーズ人口は近年、アジアをはじめ世界的に増加しており、日本への外国人旅客数(訪日クルーズ旅客数)は2015年に初めて100万人を突破。続く2016年の訪日クルーズ旅客数は前年比78.5%増の199.2万人、クルーズ船の寄港回数は前年比38.7%増の2,017回といずれも過去最高を記録している。
ゲンティン香港は今夏、日本人向けに改装したスタークルーズの旗艦船「スーパースター ヴァーゴ」(総トン数75,338トン)を投入し、2000年以来17年ぶりとなる日本発着クルーズを実施。大阪と横浜を母港に日本各地(横浜、清水、鹿児島、大阪)と中国(上海)を巡る新航路のクルーズを11月まで運航している。
横浜発着クルーズは7泊8日(日曜23時59分発、日曜15時着)。料金は、オーシャンビュー158,000円~、バルコニー198,000円~。日本語対応スタッフによる船上生活サポート、日本人専用ラウンジの設置、和食レストランでの朝食無料サービスなど、アジア流のおもてなしに着目した日本の顧客向けサービスの拡充でブランド力のさらなる強化を図る。
「洋上の五つ星リゾート」と呼ばれる船内では、華麗なプロダクションショーをはじめ、キャプテンによる操舵室ツアー、スポーツアクティビティー、中国語クラスなど参加型のプログラムが充実しており、吉本興業とのコラボ企画によるお笑い芸人ショーも行われる。寄港地での上海市内ツアーは現地の添乗員による丁寧なガイドが好評で、歴史的建造物が並ぶ外灘(わいたん)地区や、1559年の明王朝時代に創建された庭園・豫園(よえん)に足をのばすことができる。
スタークルーズのアン・ムー・リム社長は「日本4都市と上海を7泊8日で巡るゴールデンシールートは、最大速力25.5ノットを誇るスーパースター ヴァーゴだからこそ実現できた船旅。このゴールデンシールートがクルーズ市場と港の成長を牽引できると期待している。スタークルーズのアジアンホスピタリティーをぜひ体験してほしい」と話す。
政府は「明日の日本を支える観光ビジョン」で掲げた「訪日クルーズ旅客を2020年に500万人」の目標の実現に向け、既存ストックを活用したクルーズ船の受入環境の整備に取り組んでいる。この取組の一環で、国土交通省は港湾法を改正し、7月26日に横浜港、清水港、佐世保港、八代港、本部港、平良港の6港を「国際旅客船拠点形成港湾」として指定した。