プレスリリース

珪藻光化学系Iフコキサンチンクロロフィル結合タンパク質超複合体の立体構造解析を基盤とするタンパク質間相互作用の解明〔静岡大学, 岡山大学 ,京都大学〕

リリース発行企業:国立大学法人岡山大学

情報提供:

国立大学法人静岡大学と国立大学法人岡山大学、国立大学法人京都大学の共同研究成果プレスリリースです。


2024(令和6)年 11月 12日
国立大学法人岡山大学
https://www.okayama-u.ac.jp/




<研究のポイント>
珪藻Thalassiosira pseudonana由来の光化学系Iフコキサンチンクロロフィル結合タンパク質超複合体(PSI-FCPI)の立体構造解析に成功しました。

珪藻Chaetoceros gracilis由来のPSI-FCPIと構造およびアミノ酸配列の比較、さらにはFCPの系統解析を行い、FCPIとその結合箇所の保存性を明らかにしました。

珪藻は四十数個のFCP遺伝子を有するため、FCPがどのようにPSIを認識し、決まった場所に結合するのか、その結合選択メカニズムの一端を解明しました。




◆研究概要
 静岡大学農学部の長尾遼准教授の研究グループは、岡山大学の加藤公児准教授(特任)、沈建仁教授、京都大学の伊福健太郎教授らと共に、珪藻Thalassiosira pseudonana(以下、T. pseudonana)から光化学系I(PSI)とフコキサンチンクロロフィル結合タンパク質(FCP)の超複合体(PSI-FCPI)を精製し、その構造をクライオ電子顕微鏡による単粒子構造解析で明らかにしました。

 構造解析の結果、PSI-FCPIはPSI単量体と5個のFCPIサブユニットから構成されていました。得られたT. pseudonana PSI-FCPI構造を珪藻Chaetoceros gracilis PSI-FCPI構造と比較したところ、それぞれで結合箇所が保存されていました。さらに、FCPの分子系統解析の結果、4つのFCPにオーソログ関係があることを見出しました。

 T. pseudonanaには44個、C. gracilisには46個のFCP遺伝子がそれぞれゲノムにあります。T. pseudonanaの場合、そのうちの4個と特殊なタンパク質であるRedCAPがPSIに結合していることになります。44個のFCPはお互いに相同性がある程度高く、また、タンパク質構造が類似しています。FCPが何を認識してPSIの決まった場所に結合するのか、二種類の珪藻のPSI-FCPIを比較することで初めて明らかになりました。本研究で得られた研究成果は、FCPの進化を理解するうえで重要な知見となります。

 なお、本研究成果は、2024年10月31日に、国際雑誌「eLife」に掲載されました。




◆論文情報
 論文タイトル: Structural basis for molecular assembly of fucoxanthin chlorophyll a/c-binding proteins in a diatom photosystem I supercomplex
 著者: Koji Kato, Yoshiki Nakajima, Jian Xing, Minoru Kumazawa, Haruya Ogawa, Jian-Ren Shen, Kentaro Ifuku, Ryo Nagao
 DOI:https://doi.org/10.7554/eLife.99858.3
 URL:https://elifesciences.org/articles/99858


◆詳しい研究内容について
 珪藻光化学系Iフコキサンチンクロロフィル結合タンパク質超複合体の立体構造解析を基盤とするタンパク質間相互作用の解明
 https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r6/press20241107-1.pdf


◆参考情報
・低エネルギークロロフィルdを有するAcaryochlorisの光化学系I複合体の特性解析〔静岡大学、岡山大学、理化学研究所〕
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002322.000072793.html
・紅藻Cyanidium caldariumのPSI-LHCI超複合体の立体構造とLHCの分子進化の解明〔静岡大学, 岡山大学, 理化学研究所, 東北大学, 京都大学,豊橋技術科学大学〕
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002048.000072793.html
・鉄欠乏条件で誘導するフィコビリソームと光化学系I複合体の強固な結合〔静岡大学、岡山大学、理化学研究所〕
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001520.000072793.html
・【岡山大学】シアノバクテリアの光化学系I単量体IsiA超複合体の立体構造解明 ~集光性色素タンパク質の進化を紐解く契機に~
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001263.000072793.html





◆本件お問い合わせ先
<研究に関すること>
 静岡大学 農学部 准教授 長尾 遼(ながおりょう)
 TEL:054-238-4251
 WEBサイトやSNSのリンクのまとめ(QRコード) : https://linktr.ee/ryonag

<報道に関すること>
 静岡大学 総務部広報・基金課
 TEL:054-238-5179

 岡山大学 総務・企画部 広報課
 TEL:086-251-7292

 京都大学 渉外・産官学連携部 広報課 国際広報室
 TEL:075-753-5729

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 TEL:086-251-8463
 E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい
 https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/

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 岡山大学研究・イノベーション共創機構 機器共用推進本部
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
 TEL:086-251-8745、086-251-8746
 FAX:086-251-8748
 E-mail:cfp◎okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい
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