プレスリリース

細胞ストレス防御の中心的因子が肌表面の粗さにも影響する可能性を発見

リリース発行企業:株式会社ポーラ・オルビスホールディングス

情報提供:

 ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業株式会社(本社:神奈川県横浜市、社長:片桐崇行)は、肌表面の状態を改善するアプローチについて研究を進め、以下の3点を発見しました。
- 細胞保護にはたらくHSF1(補足資料1)の減少により、表皮細胞のバリア機能が低下し、肌表面の粗さにつながる可能性がある
- 老化によって表皮細胞におけるHSF1が減少する
- ゲンノショウコエキスが、表皮細胞におけるHSF1を増加させる

表皮のHSF1に着目 
 紫外線やストレスから細胞を守る保護因子「HSF1」は、細胞老化や炎症をコントロールするなど、細胞にとって重要な役割をもちます。さらに真皮では、真皮における重要な機能であるコラーゲン産生の働きを促進することが知られています。このことからポーラ化成工業では、HSF1が表皮においても重要な役割を果たす可能性があるとして着目しました。
 
 表皮は肌の表層に位置しており、肌表面の状態には表皮の状態が強く影響します。肌表面の状態は、顔の印象を左右することが知られており、特に、肌の凹凸やざらつきのような粗さをなくすとたるみが軽減した印象となるなど、肌表面に留まらない変化をもたらすことが分かっています(※1)。そこで、表皮の重要な機能で、肌の凹凸やざらつきとも関係すると考えられる「バリア機能」に着目してHSF1の働きを解明したいと考え、研究を行いました。

※1 「肌表面の『粗さ』と『くすみ』がないと、たるみのない印象に 肌表面の状態がさまざまな印象に影響」(2024年10月29日)https://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_20241029.pdf

HSF1はバリア機能に関わることが判明 
 表皮でのHSF1の働きを調べるために、HSF1の遺伝子発現量を人為的に減少させたところ、肌のバリア機能に関わる因子が複数低下しました(図1)。このことから表皮では、HSF1が低下するとバリア機能が低下し、これにより肌が外部からの刺激を受けやすくなる・水分が失われやすくなるといった影響が現れ、ひいては肌の粗さにもつながると考えられます。





 また、加齢によってHSF1が減少することも確認しており(補足資料2)、HSF1の減少が加齢に伴うバリア機能の低下と肌表面の粗さの増加に関与している可能性を見出しました。

HSF1の発現を増やすエキスを発見 
 表皮細胞でHSF1の発現量を増やすことができれば、肌の粗さの改善につながる可能性があります。そこで、表皮細胞のHSF1を増加させるエキスを探索し、ゲンノショウコエキスにその作用があることを見出しました(図2)。さらにこのエキスは肌内部に存在する真皮の線維芽細胞においてもHSF1を増やすことが確認されました(補足資料3)。いつまでも若々しく健やかな肌を保ちたいと願う方々の理想の肌作りを支える新たな知見となることが期待されます。






【補足資料1】 HSF1とは
 HSF1(Heat shock transcription factor 1) は、熱やUVなどのストレスによるダメージ時に、細胞を保護するタンパク質です。HSF1は、細胞を守る「ヒートショックタンパク質」というタンパク質群の司令塔であり、それらを活性化させることで、細胞を修復し、ダメージを軽減します。また、HSF1は、ヒートショックタンパク質以外のタンパク質も制御し、代謝、炎症、細胞老化、コラーゲン産生など様々な生命現象に関与していることが明らかになっています。

【補足資料2】 加齢表皮細胞におけるHSF1の減少
 加齢皮膚組織と若齢皮膚組織由来の表皮細胞におけるHSF1遺伝子の発現量をそれぞれ調べたところ、加齢細胞は若齢細胞に比べて、発現量が低いことが分かりました(図3)。これより、HSF1は加齢に伴って発現量が減少することが示唆されました。







【補足資料3】 真皮線維芽細胞における、ゲンノショウコエキスによるHSF1増加作用
 HSF1は真皮線維芽細胞ではコラーゲン産生に関わっています。実験の結果、ゲンノショウコエキスは真皮線維芽細胞においてもHSF1の増加作用があることを見出しました(図4)。



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