横浜・みなとみらいのシンボルとして親しまれている「よこはまコスモワールド」の大観覧車「コスモクロック21」のイルミネーションが、今年3月19日にリニューアルしたのをご存知だろうか。ネオン管を全て新しいものに取り替え、今までより明るく、色鮮やかに発光するようになった。また、イルミネーションに新たな発光パターンを追加、点灯時間も長くなり、より華麗にヨコハマの夜を演出している。よこはまコスモワールド支配人の三崎晴夫さんは「赤、青、緑のネオン管一本一本を長いものに取り換え、発光エリアも大きくなりました。くっきりと鮮やかになったと周辺のホテルの方にも好評をいただいています」と語る。園のなかでも人気アトラクションであるコスモクロック21は、休日にもなると昼はファミリー、夕方から夜はカップルが大勢訪れ、1日に6,000人から7,000人が乗車する。カップルたちの間では、「1台だけある紫色のゴンドラに乗ると幸せになる」という噂まであるという。
よこはまコスモワールドコスモクロック21は、1989年にみなとみらい21地区で開催された「横浜博覧会Yes'89」のアミューズメントゾーン「コスモワールド・子供共和国」のアトラクションの一つとして泉陽興業が建設したもの。当時は現在のクイーンズスクエア周辺の位置に建設されていた。コスモクロック21は直径100メートル、高さ112.5メートルで、約15分間で一周する大観覧車で、世界最大の観覧車としてギネスブックに認定され大きな話題となった。博覧会閉幕後の活用方法を模索するなか、横浜市民から「横浜に残してほしい」という多数の意見があり、他のアトラクションとともに日本丸地区に移転して「よこはまコスモワールド」として再開する運びとなった。その後、園は一文字地区へ敷地を拡張し、1999年3月18日にグランドオープン、都市型立体遊園地として横浜を代表する観光スポットとして人気を博している。コスモクロック21は、「時計機能のある」観覧車としては今も世界一高い観覧車となっている。
泉陽興業 Yes'89 横浜博覧会リバイバル今回のリニューアルの主目的は、老朽化したネオン管を交換するという安全面と、イルミネーションの明るさを上げること。よこはまコスモワールド広報催事担当の山田陽介さんは、リニューアルについてこう語る。「園がオープンした当時と比べ周囲に建物が増えて夜でも明るくなったため、全て新しいネオン管に交換し(約6,840本)、より明るく光るようにしました。大きく変わったことは、今まで出なかった白色の発光ができるようになったこと、また色のグラディエーションが可能になったことです。これまでの47の発光パターンに虹のように変化するものなど、新たに数個のパターンを追加しました。5分間、3分間、1分間とバラバラだった点灯時間も一番長い5分間に統一しました」。ベースとなる色を出す水銀灯はこれまでと変わらず、春(3月1日~5月31日)はグリーンイエロー、夏(6月1日~8月31日)はブルー、秋(9月1日~11月30日)はゴールド、冬(12月1日~2月末)はピンクレッドに発光する。イルミネーションの点灯時間は日没頃から0時05分まで、毎時00分、15分、30分、45分と15分おきに5分間点灯する。リニューアルにかかった費用は約2億5千万円。
よこはまコスモワールド コスモクロック21よこはまコスモワールドは入場無料のため入場者数を正確にカウントしていないが、推定で年間300万人が来園しているとのこと。しかし平日と休日では来園者数に10倍近い差があり、いかに平日に人を呼び込めるかが大きな課題と言える。三崎さんは今後の展望をこう語る。「イルミネーションをリニューアルしたからといってすぐに売上げに結びつくわけではありませんが、街の魅力を高めて街全体で来街者を増やしていくことは必要です。みなとみらいは平日はどうしても来街者数が落ちてしまうので、各施設のがんばりはもちろん、施設間で連携して共同でイベントを開催するなどの取り組みが大切です。現在、近隣に『横浜みなとみらい万葉倶楽部』さんが6月にオープンすることにあわせて、『横浜ワールドポーターズ』さんと3者で連携した企画ができないか検討しています」。
横浜みなとみらい万葉倶楽部 「温・泊・食・遊空間」みなとみらいに万葉の湯建設同じ3月19日、横浜ワールドポーターズが物販店舗の約3分の1にあたる37店を大規模リニューアルしてグランドオープンした。内訳は新規出店16店、リニューアル店21店で、2階に個性的なブランドやレディスカジュアルのショップを、3階にカップル・ファミリー向けのカジュアルショップを主に導入した。横浜ワールドポーターズを運営している横浜インポートマート販売促進マネージャーの松本敬三さんは、リニューアルのポイントをこう語る。「2階は今まではアウトレット系の店舗が多かったのですが、リニューアルでレディス・ファッションの店舗を集積させました。大箱だった店舗スペースを半分に分け、そこにベーシックなファッション店を、また中央スペースにはトレンド系のファッション店とエリアで色分けしています。ブランドをどうつくりあげていくのいか、はっきりとイメージできているところは数字も良いです。各ショップの個性や魅力を引き出し、それぞれの店舗をワンオブゼムではなくオンリーワンにしていきたいですね」。新しいショップの中でも人気なのが、ベーシックなアイテムをナチュラルでありながらスタイリッシュに表現する「in the groove」。斬新なデザインでありながら温かみのある素材を使うことで生活感のあるオシャレを提案している。
横浜ワールドポーターズ一方、「スポーツ・アウトドア・ホビーワールド」である3階は、カップル・ファミリー向けのカジュアルショップを主に導入し、よりバラエティに富んだフロアとなった。「これまで少なかったメンズカジュアルを導入することで、メンズ、キッズ、スポーツ、アウトドア、ホビー、雑貨と多様なショップが同居する、家族みんなで楽しめるようなフロアになりました。回遊性も向上し、客層もより幅広い年代に広げることができ、成功と言えるでしょう」。中でも注目は、ヤング、レディス、キッズまで楽しめるニューサーフ系ショップ「Beach Sound」。「BODY GLOVE」「LOST」「BANANA SEVEN」など話題のサーフブランドの直営店として小物、雑貨、一部ギアなどを取り揃えている。また、近年MM地区にマンションが増え、居住者も多くなってきたことから、1階の食品売り場も改装してアイテム数を増やした。立地特性を活かしたお土産物やお菓子関係、輸入品などの品揃えはもちろん、生活用品の充実にも力を注いだ。
横浜ワールドポーターズ、37店リフレッシュオープン「改装・リニューアル箇所は月間の売上げが昨年度に比べて2階は125%アップ、3階は150%アップしました。客数、客単価も共に上がっています。他にもリニューアルに連動して4階各インテリアショップにて『インテリアデザインメッセ』を開催したことも売上げの伸びにつながりました」(松本さん)。
MM地区に位置する横浜ワールドポーターズは、やはり平日と休日では2~3倍も客数が変わるという。平日に来街者が少ないことは、MM地区の施設に共通する悩みだ。松本さんは、施設間で客を取り合うという”点”の発想ではなく、コラボレーションを通して横浜全体を元気にすることで他都市からパイを取っていく”面”の発想が大切だと語る。松本さんは、みなとみらいの各施設でサービス、メニュー、ギフトなどで女性やカップルをもてなす「女性にやさしいバレンタイン」という企画を、みなとみらいの31の企業・団体によって構成される「みなとみらい21プロモーション協議会」に提案し、企画は2月から3月にかけて各施設で実施された。松本さんは他にも次々と様々な連携企画を提案する。「エリアの中で連携してお客さんに来ていただけるような魅力的な企画を作ってく『エリア戦略』がこれからは大切になる。横浜には東京や他の都市にはない、”横濱時間”とでも言うべき独特の風情があります。施設間の連携はまだ始まったばかりですが、コラボレーションによってその横浜の強みをもっと活かしていきたいと考えています」。
みなとみらい各施設で「女性にやさしいバレンタイン」今年で開業43年目を迎える横浜駅西口の駅ビル「横浜シァル」も、2階と5階をヤングファッションの集積フロアとして3月18日にリニューアルオープンした。昨年9月、1階に横浜駅に直結する形で「BEAMS」(約100坪:メンズ・レディス)がオープン、人気を博していることから、リニューアルの主眼は客を上の階へとつないでいくことに置かれた。「BEAMS」との連動を意識し、2階はセレクトショップを核とした高品質のカジュアルファッション店を集積して他の駅ビルとの差別化を図った。「Another Edition」や「URBAN RESEARCH」など、都心部や関西で人気のヤングファッション店を導入することで、感度・購買力が共に高い20代女性層を取り込むのが狙いだ。横浜ステーシヨンビル営業部・担当部長の森田克伯さんは、「2階は1店舗を除き、全て新しい店舗になり、大きく変わりました。個性的でブランド力が強いショップが多く、まとめるのは大変です。しかし、店がポリシーを明確に持っていることは、施設側としてはたのもしくも感じますね」と語る。
横浜シァル BEAMS UNITED ARROWS Another Edition URBAN RESEARCH5階はストリートカジュアルや109系ファッションのゾーンをフロア内に形成、リーズナブルな価格帯のファッション店を充実させるとともに、ファッション雑貨や個性的な雑貨店も導入。これまでは多様なジャンルの店舗が混在したためターゲットが不明確だったが、リニューアルでは"ピュアヤング"と呼ばれる高校から大学までの世代の来店を促進するため、店舗数を増やして賑わいのあるフロアとなった。横浜ステーシヨンビル営業部販売促進課長の難波江進一さんは、「スペース中央部の"島区画"は小分けにして個性的なファッション店と雑貨店で構成しバラエティ感を打出しました。3階、4階もあわせて店舗の一部入れ替えを行い、各階の色分けを明確にして"顔の見えるフロア"にすることを心がけました」と語る。
横浜シァル、リニューアルでヤングファッション店集積横浜シァルでは、開業40周年に当たる2002年から段階的リニューアルを行ってきた。2002年は地下と1階のフロアをリニューアル、共通レジを導入することで買い物が便利になった。また全国的にも例の無い「スターバックス」と「アンデルデン」のコラボレーションによるベーカリー&カフェを展開。内装にはその後の改装の礎となるレンガ色の壁を使用し、落ち着いた雰囲気づくりに努めるとともに、出入り口を変えることで回遊性の向上を図った。2003年には6階のレストラン街をリニューアル、小型店から大型店へと店舗の入れ替えを行った。また、昼と夜で照明を変えることで、それぞれの時間帯に多く訪れる客層に合わせたフロアの演出を行っている。今回のリニューアルで段階的リニューアルは一区切りとなる。森田さんは、横浜駅の駅ビルであることの特徴をこう語る。「他の都市から来る観光客の多くはみなとみらいへ行きます。通勤の拠点である横浜駅は意外とドメスティックな場所。通勤する横浜市民のために、東京や他都市で光っているお店も積極的に誘致していきたい」。
Starbucks Coffee Japan ANDERSENリニューアルによって、2階は客単価が上がり、5階は売上げが1割強アップしたなど、順調な滑り出しを見せている。しかし、2階が大幅にリニューアルされたことはもっと告知していきたいと森田さんは語る。「1階のスターバックスコーヒーは、渋谷駅店と世界1、2位を競う売上をあげています。これだけ多くの人が訪れる横浜駅なのだから、もっと集客できるはず」。2階はグランドフロアに相応しいゆとりのある空間づくりを目指し、1店舗当りの面積の拡大、通路の拡幅、レストスペースの開設、客動線の変更によるフロアの回遊性向上などを試みた。また、1階から2階へと上るエスカレーター周囲には、防護用のガラスに白色のLEDを埋め込み点滅する仕組みを日本で初めて使用するなど、環境面を充実させて通勤客である20代OLの取り込みに力を入れている。「今後はフリーペーパーなども活用し、通勤する横浜市民に知っていただくことを考えています」(森田さん)。
イルミネーションが新しくなった「よこはまコスモワールド」の大観覧車「コスモクロック21」、37店を大規模リニューアルした「横浜ワールドポーターズ」、ヤングファッションを集積した「横浜シァル」。心地よい春の日、リニューアルで新しくなったヨコハマの定番スポットに行ってみてはいかがだろうか。