提供:(一社)古民家商業店舗活用協会 制作:ヨコハマ経済新聞編集部
横浜から約110キロ。車で2時間、電車とバスで3時間。
壮麗な富士の麓にある「西湖」から、畔道をゆっくりと散歩して約5分。
一日一組限定の、築150年の古民家宿「root field」。
昔のおじいちゃんやおばあちゃんの家を思い出すような、懐かしさが残る家でワーケーション(Work+Vacation)や家族旅行を楽しむことができる。
富士山麓の山梨県側に位置する「富士五湖」は、「河口湖」「本栖湖」「精進湖」「西湖」「山中湖」の5つの湖からなる。
富士山は「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」として、2013(平成25)年に世界文化遺産への登録が決定、富士五湖も富士山と共に構成資産として登録された。
「西湖」(さいこ)は、天然記念物のクニマスが生息する湖で、富士五湖の中でもっとも開発されておらず、手つかずの自然がそのまま残る神秘的な魅力をもつ。
西湖の湖面に映る鏡富士
湖の南西には青木ヶ原樹海、富士山の噴火活動で湖と森が誕生した太古の時代を思わせる風景が広がる。
横浜からは車で約2時間(Google Mapより)
古民家宿「root field」は、湖の北側の畔、茅葺屋根の家々が立ち並ぶ「根場(ねんば)」呼ばれるエリアにある。
富士山を望む西湖の湖畔、根場地区(山梨県) 写真提供:やまなし観光推進機構
西湖から、自然豊かな畔道をゆっくりと散歩して約5分ほどで、古民家宿「root field」にたどり着く。
湖から宿への道のりは、とても静かで、夜に訪れると真っ暗。
ぽぅっと浮かぶ宿の明かり
築150年を超える古民家。優しいあかりと、和の温もりのある、開放的な空間が広がる。
1階は約40畳の大広間
宿主が、囲炉裏焼きの夕食で迎えてくれた。
秋田県の友人から仕入れたという炭
山梨県のブランド牛甲州ワインビーフ、ニジマス、新鮮野菜、富士山の麓・忍野八海名水でつくる伝統製法の豆腐など
呑める人には、鉄瓶で日本酒を
ごはんとお味噌汁も
山梨県の最高級ブランド「武川米」(むかわまい)と、絹豆腐とふわふわ油揚げのお味噌汁が、炭火でふわっと焼かれたニジマスや、皮までほっこりとおいしくなったカボチャとよく合う。
満腹になって、ふと見上げると、天井からすこし光が漏れているのに気付く。「かつて、この古民家の2階で、養蚕をしていたため、囲炉裏の暖かさが2階まであがっていくように、わざと隙間を作っていたそうです」と宿主がいう。
意図的に少し開いているという天井板の間
「rootfield」は一棟貸しのみで、約40畳の1階のほか、約50畳の2階でも過ごすことができる。
急な階段や低い梁は、おじいちゃんやおばあちゃんの家を思い出すような懐かしさ
2階は寝室で、6ベッド。さらに4枚布団を足して敷き、10人まで同時に宿泊ができる。
1階よりさらに広い2階
朝になれば、窓から陽がさし、鳥のさえずりで目が覚める。
からだにやさしい朝ごはん
自炊派にはうれしい、ミニキッチンも完備されている。
IHヒーターや調理器具、冷凍冷蔵庫、食器&カトラリーを自由に使うことができる
Wi-Fi完備なので、食後に縁側で、日向ぼっこしながらひと仕事もいい。
オフィスに居る時とは違う発想も生まれそう
快適な仕事環境になるようにと、長時間座っても疲れにくいゲーミングチェアも。
クラウドファンディングで導入したGtracingのリクライニング付ゲーミングチェア
古民家宿「root field」から一歩外に出れば、すぐ隣には20棟の茅葺家屋を中心とした「西湖いやしの里根場」がある。
「root field」の名前の由来でもある「根(root)場(field)」集落は、1966(昭和41)年の台風で山腹が崩壊し、当時41棟あった茅葺民家のうち、37棟が全半壊。平和な暮らしが一瞬にして奪われ、集落は消滅してしまった歴史をもつ。
「西湖いやしの里根場」では、古材を用いて当時のままの兜造りの茅葺屋根を再建すると共に、炭焼き小屋や、蚕を育てる養蚕室も再現。彫金や匂袋作りなどのものづくりをしたり、素朴な郷土料理に舌鼓を打ったりと、心豊かなひとときを楽しむことができる。
里の中には「まんが日本むかし話」に携わった地元出身のアニメーター、前田こうせいさんのアトリエも
すこし足を伸ばせば約10分で、西湖野鳥の森公園もある。
野鳥の森公園の休憩所、バードウォッチングをしながら森林浴
「root field」オリジナルのオプショナルツアーもあり、樹海での「トレッキング」や、西湖での「SUP(スタンドアップパドルボード)体験」、宿での「薪割り・釜戸でご飯」などのアクティビティを、3000円~4000円で体験が可能となっている。
ガイド付きの樹海トレッキングで洞窟探検
西暦864年の噴火で溶岩流が流れ、土がなく溶岩の岩の上に木が生えている森。夏でも25度くらいで涼しい。
西湖でのSUP体験で水上散歩
SUP貸し出しも込み、レクチャー付きなので初めてでも安心。
食べたり、ゆったりしたり、仕事したり、散歩したり、体験したり・・・。結びに、この古民家宿「root field」に関わる人たちを紹介したい。
宿主の林大輔(はやしだいすけ)さん
林さんは1983年、栃木県生まれ。神奈川県で大学時代を過ごし、卒業後、沖縄県西表島で約2年間、アウトドアガイドを経験。静岡県伊豆のフィットネスジムでトレーナー、リゾート施設での企画営業として8年勤めた後、主に中南米を約10か月間旅する。山と桃と葡萄が好きすぎて2017 年に山梨に移住。2021年春、root fieldの開業とともに宿主となった。
「古民家とキャンピングを合わせた『古民ピング』のマイスターとして、ひとりでも多くの人に西湖の魅力を伝えたい」という。
夏休みになると宿付近で、グランピングテントでの宿泊も体験可能
「root field」を立ち上げたのは河西和奈(かさいわかな)さん
河西さんは、山梨県の甲府で店舗内装の仕事をしており、何店舗か手がける中で、4年前に、西湖の空き家バンクに載っていたこの古民家を借りることになった。富士五湖の中でも西湖は余りなじみのない場所だったが、通う中で「一番良い場所じゃないかっていうぐらい、余計なものがないっていうか、自然溢れる良いところ」と感じ、2020年9月からは「西湖ワーケーション協議会」も立ち上げた。
現在は代表として「古くて新しい、コミンピングで西湖満喫ワーケーション推進事業」を推進するとともに、自然保護にも関心を持ち「湖の利用の仕方や、樹海トレイルの遊歩道保全の問題、そういうものにも関わっていけたらいいなと思っています」と話す。
五右衛門風呂のトライアル、今後は宿に五右衛門風呂も作る予定だそう
「富士山自然遊び スパイシージャム」代表のめっしーさんこと飯塚敏明さん
メインのフィールドは青木ヶ原樹海と西湖。青木ヶ原樹海中の200以上の洞窟を訪れたというめっしーさんは、宿発の樹海トレッキングをプランニング。ナイトツアーでは自らガイドを担当する。
「まず青木ヶ原樹海にお客様をお連れすると色んな反応があるんですが、『怖い』と思う方もいれば、『ワクワクする』『素敵!』と喜んでくれる方もいるんですけど、森に入った時に、普通の森とは全く違う景観がそこには広がっているわけですね。最終的には『楽しかった!』『感動した!』っていう気持ちになってもらえるように、このめっしーの軽快なトークでご案内するのでございます」と笑う。
「野生の鹿が観察したい」、「夜のムササビが見たい」なども別料金で対応してくれる。
富士山麓の野生の鹿
そんな彼らが口にするのが「西湖、最高!」のヒトコト。
横浜から、車で2時間、電車とバスで3時間。そんな西湖に、さぁ、行こう。
湖畔でも、ワーケーション
築150年の古民家で、“古いけれど新しい”心豊かな時間を
一棟貸し切り素泊まり30,000円~
住所山梨県南都留郡富士河口湖町西湖1490
電話080-3408-0223